みんなの敵(!?)であるデッドライン(締切)を味方につけて、積読を消化する読書会:デッドライン読書会が第13回を迎えました。この投稿は第13回の課題図書である「チーム・ジャーニー」(前半)の感想文になります。
デッドライン読書会については下記の投稿をご参照ください。
課題図書
第13回の課題図書は、市谷 聡啓さんのチーム・ジャーニーです。
本書は2部構成になっています。
- 第1部 僕らが開発チームになるまで
- 第2部 僕らがプロダクトチームになるまで
前半戦となる第13回は、第1部を対象としました。
感想文
全体
システム開発で利用するツールを提供する会社が舞台です。主人公の太秦(うずまさ)さんが所属するチーム(フォース)は「タスク管理ツール」を開発しユーザーに届けることをミッションとしています。最初はただの人の集まり(グループ)だったメンバーたちが、苦難を重ねながらチームへと成長していく姿をみることができます。
本書の章構成は、現場で起きているストーリー(問題編)、それに対する解決策(もしくは解決のいとぐち;解決編)の2つからなっています。
帯で、宇田川元一さんが「ひとつひとつのエピソードが絵空事ではなく、リアリティを持って迫ってくる」と書かれています。問題編で書かれているストーリーはまさにそのとおりで、私も過去に経験した苦渋をいくつも思い出すことができました…。P.20にはそれらの問題が「第1部で扱う問題のパターン」がまとめてあります。いくつか抜粋すると、
- メンバーが受け身問題
- 誤った民主主義問題
- マンネリ化
- サーヴァント過ぎリーダー
これらの問題に立ち向かいながら、第一部では約1年ほどの時間が過ぎていきます。
本書では安易に「スクラムを導入すれば!」とか「振り返りはKPTだよ!」といったことを押し付けてくるような話ではないところが面白くもっとも勉強になるところです。つまり、チーム自体もプロダクト同様に、逐次改善し、理想と考える姿に向けて意図的に成長させていかなければいけない、それを考えるのはリーダーだけではなく、チームメンバーも当事者となって進めていく。といったことがありありと分かることです。
「これってスクラムじゃないですよね?」「だから、なに?(So What?)チームが目標とすることはなにか。それを達成するためには何をすべきか。」が繰り返されながら、お話は進んでいきます。
個別
個別で勉強になったことをピックアップしてみます。
適した状況を作ること
「必要な会話をするためには、それに適した状況をつくることが前提だ。」
P.29 第02話 一人ひとりに向き合う 現場コーチの蔵屋敷さん
チームの状況をかえるために必要となる会話ってあると思います。問題に気づいた後に状況を打開するには、いつも通りのミーティングや、振り返り会をやっていても前に進まないと思います。そういったときに、少し突拍子もないテーマを上げたい場合があります。私も経験がありますが、作戦もなくこういった話を出すと、話を受ける側も受け止めきれず、スルーされちゃう(「ぽかーん」としちゃう)んですよね。根回し、タイミング、材料を集めて、必要な会話に適した状況を作ることが大事だと気付かされました。
リーダーシップにおける2人目
特に行動を起こす「2人目」が大事になるのだ。多くの人を一気に動かすことはこんなんだ。一方「2人目」を巻き込むことに狙いを置くならば、その可能性は高まる。
P.33 第02話 一人ひとりに向き合う 脚注Mo.9
リーダーシップの2人目といえば、デレク・シバーズさんのTEDが有名ですね。
私も意識していることです。
チームの構造・チームのフォーメーション
チームの構造をデザインする
P.66 第04話 チームのファーストを変える
チームの構造を決める要素には、次の4つがあると述べています:①共有ミッション、②役割、③コミュニケーションの場、④ルール。これらの要素が適切に機能するために、チームの構造設計を行うことがチーム活動の第一歩。それぞれの要素がちゃんと機能しているかを意識することがリーダーシップに必要なんだと思います。
チーム状況に適したフォーメーションを組む
P.103 第06話 分散チームへの適応
第06話で、太秦さんのチームに追加メンバーが2名参画しました。2名はリモートワークをしていたり、稼働時間に制約があるメンバーです。これまで1箇所に集まって同じ時間と場所を共有していたチームから、場所・時間・経験が分断されたチームに変化しました。その変化への対応として、フォーメーションを変えるという決断をします。雁行陣開発がその対処策として上がっていました。雁行陣開発については、市谷さんがアップロードしているSlideShareに同じ内容が有りましたので、そちらへのリンクを貼ります。
チーム開発にフォーメーションが必要というイメージはあったのですが、せめて「前衛」と「後衛」くらいで、陣形ほどの明確なメタファーは考えていなかったなと気づきました。実際にこれまでメンバーと共有するのはツリー型のチーム図がメインでした。場に合わせてフォーメーションを変えることをイメージし、どう今の状況へ適応していくかの良いヒントとなりました。
余談1:本書で陣形の説明図が出てきますが、八陣というようです。
余談2:陣形といえば、ロマンシング・サガというゲームも思い浮かびました。そこからチームのフォーメーションのアイデアも浮かぶかも!?
第13回の感想は以上です。第2部も読むのが楽しみです。
次回
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