この投稿はデッドライン読書会第28回の読書感想文です。今回の課題図書は、森一樹さん著の「ふりかえりガイドブック」でした。デッドライン読書会って何?は以下の記事をご参照ください。

課題図書

 今回の課題図書は、森一樹さんの「アジャイルなチームをつくる ふりかえりガイドブック 始め方・ふりかえりの型・手法・マインドセット」でした。

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感想

過去の類書における本書の位置づけ 

 これまで「ふりかえり」の参考図書と言えば、私としては、「アジャイルレトロスペクティブ」や「これだけ!KPT」でした。本書が出たおかげで、日本の現場にあった網羅的な「ふりかえり」の指南書が手に入ったなぁって気持ちです。定着の前に実践で実験が必要な部分はあるものの、ガイドブックとして、ふりかえりを企画する場合には手元に置いておきたい一冊です。必携。

自分のふりかえりを思い出してみた

 私自身のふりかえりを思い出してみると、本書が対象にしている「短期間を対象にしたふりかえりを高頻度に実施して、少しずつ改善していく」ふりかえりは、2012年ごろに初めて実施しました。当時はすでに大阪にいたのですが、大阪へ転機となる前に「プロジェクトファシリテーション」というコミュニティに参加し、KPT(KPTAだったかな?)を教えてもらったことがきっかけです。その後だいぶ長い間、ふりかえりといったら「KPTA」(対象期間が長期間の場合はこれに思い出しのタイムラインを付ける)か「5-why」、あと単に「しゃべって図式化する」だったと思います。KPTAについてはお仕事のお客さんも含め何度も人に説明することがあったため、スライドはSlideshareにアップしていました。

 2020年に育児休業から復帰したあとは、複数の現場や社内のコミュニティに関わることが増え、ふりかえりを様々な方式で、これまで以上に実践(実験)してきました。手法であげてみると「Fun-Done-Learn」(一番多い)、「KPT」、「Good-Bad-Try」(KPTの言い方を変えただけ)、「エモーショナルグラフ」、「ドラッカー風エクササイズ」(ふりかえりに使ってみると面白かった)、「タイムライン」、「YWT」。なにより在宅勤務下で、デジタルにふりかえりが準備できるようになったため、物理的な準備が楽となり、手法を工夫するところに目が向くようになったんだと思います。

本書で自分が響いたポイント 

 で、本書。

 本書の構成としては、基礎→実践→手法→TIPSとなっています。14章からなります。それぞれの章は、現場のストーリー(マンガ)と、そのストーリーへの解説や、登場人物が悩んでいること考えていることへの解決策を提示していく流れです。「アジャイル」という言葉がタイトルにありますが、「IT/技術的な内容」を含んでおらず、システム開発に携わらない人でも関係なく読み進められます。(「アジャイル」って書いてあると、エンジニア向けの本で難しそうだから読まないな~と言われたことがあったため、念のための補足)

 特に本書が良い点は、

  • 初心者でもスタートできるように、かなり丁寧に足場を整えてくれる。一歩目のハードルを下げてくれる。
  • 紹介されている手法が、日本の現場にあっている。
    • 「アジャイルレトロスペクティブ」では「こんなんできるか?」という手法が多かったが、本書はいけそう。
  • 「ふりかえりのふりかえり」の重要性が身にしみて分かる。
  • 「ふりかえりの手法の組み合わせ」が、私にとってすごく役になりそうな予感がする。

 最後に挙げた「ふりかえりの手法の組み合わせ」が現時点の私のふりかえりスキルからして、もっとも響いたところでした。これから実施しようとするふりかえりのコンテキストに応じて、どういうメニューでふりかえりを実施するのが良いか、整理してくれています。例えば、チームと「初めてふりかえりをしたい」場合だと、

[構成例]

DAP→KPTまたはYWT→+/Δ

Chapter 10 ふりかえりの手法の組み合わせ

チームがスムーズにふりかえりに突入できるようDPA(Design the Partnership Alliance)でふりかえりの場を作り、KPT/YWTでふりかえりをする。最後に+/Δで「ふりかえりのふりかえり」をする。といったお品書き。

 他にも「学びと実験を加速させ、チームの殻を破りたい」場面では、

[構成例]

ハピネスレーダー→Celebration Grid→小さなカイゼンアイデア→Effort&Pain→SMARTな目標→+/Δ

Chapter 10 ふりかえりの手法の組み合わせ

といったお品書き。

 なるほどな~。場の雰囲気を、うまく乗せて、上げて、収束して、次に向けた勢いをつけるっていうのが、ふりかえりの組み合わせで、いかようにもできるんだと気づきました。こういったガイドがあると、「実は書籍でこういうやり方があって…ちょっとやってみません?」がとてもやりやすくなるんですよね(権威にすがる^^;)。

今後は社内でも情報交換会をする

 と、現時点でのスキルに合わせたふりかえりの整理ができる良書でした。実は社内で本書の感想交換会を企画したところ、部門/国を問わず社内で9人の方に手をあげていただいた。7月中旬に開催予定のため、それぞれの現場の工夫や、本書でどんな気づきが得られたのかシェアしあうのが楽しみ。

次回

また未定だ…。次の#29のスタートは、7/19。次はITっぽい本が良いかな。