デッドライン読書会第46回のテーマ図書は「Web世代が知らいないエンタープライズシステム設計」でした。
著者は「IT勉強宴会」
本書はIT勉強宴会というコミュニティ有志によって書かれた本です。(たしか)関西を拠点にしたコミュニティです。いつか一度は参加してみたいな…と思っていたものの新型コロナが流行したり、子供が増えたりして、まだ参加することはできてません。今回本書を読んだことをきっかけにメーリングリストには登録させてもらいました。
私とITコミュニティ
感想を書く前にITコミュニティの話を書いておいたほうがよさそうです。私が初めて参加したITコミュニティはオブラブの「プロジェクトファシリテーションプロジェクト(PFP)」の勉強会だったと思います。会社の先輩数人に連れて行ってもらいました。社会人1年目のころでしょうか。いまとなっては本当に良いきっかけをもらったな~としっかり覚えています。この時は東京に住んでいましたので、JJUGやマイクロソフト系の勉強会などに出ていました。関西に引っ越してからは、DevLove関西や技術書の輪読会にもたびたびお邪魔しています。社会人一桁年目はよくコミュニティに参加していろいろな人と交流したなと思っています。いっぽう子供ができて&増えてからは、仕事の面でも忙しいものを受けることもあり、なかなか夜にあるコミュニティ活動に参加することは難しくなってしまいました。(代わりに朝開催の一般の読書会によく出るようになりました)
本書でも前書きに「技術者は自分のプロジェクトにだけ専念するようになり…」とあるとおり、どうしても狭い範囲で活動しがちです。プロジェクトから飛び出して会社の中で交流を深めるのもきかっけが必要でしょう。さらに会社から飛びだして社外の人たちと交流をするのは高いハードルがあるんだろうなぁと思っています。本書を読んでいて改めて自分もコミュニティ活動に参加したい&貢献したいと思いましたし、まだそういったところに行った経験が無い後輩も連れて行ってあげたいな~と思った次第です。
本書の感想
本書は16章から構成されます。先に書いた通りIT勉強宴会の有志が寄稿する形で作られています。通底してあるのは、企業情報システムにおけるデータモデリングの重要性なのだと理解しました。
特に第16章で田中氏がまとめていたWebサービスシステムと企業情報システムの「取り組み姿勢の差」は一番刺さりました。下表で引用します。
Webサービスシステム | 企業情報システム |
ユーザー体験重視 | データ処理機能重視 |
フィードバックサイクル優先 | 事前モデリング優先 |
可用性やスケーラビリティ優先 | 整合性優先 |
昨今の情報(ミーム)は左側に偏りがちだということに対する警鐘を本書は出しています。「最新の潮流にのっとった開発手法、うんぬんかんぬん…」を採用して企業情報システムを開発しようとすると、右側の重要なポイントがおざなりになった開発になってしまうのではないでしょうか。
右側を推進するにあたり重要となるのは「結晶性知能」(第2章より)であると。
創造的なソフトウェアというものは、専門家による構想と、その分野の専門性を一定以上持つ開発者の技能とが融合して初めて生み出される。
同様に第2章より引用
厳しい先輩からの一言って感じ。自分が初めて挑む業務ドメインであったら「専門書の2,3冊を読んでしっかり理解しておきな」って感じですね。デスヨネー。
もう一つ第3章から引用します。
エンタープライズシステムでの専門性
・簿記を含む多業種向けの業務知識
第3章 顧客の要件があいまいすぎる?プロは嘆く前に「専門性」を磨く
・システム要件を具体的な設計仕様に落とし込むスキル
・システム開発に最適化された実装スキル
分かりやすい。1番目の「簿記」は企業情報システムは最終的に会計システムにつながるものだから、だそうだ。とても同意する。個人的には担当する(得意とする)システムに応じて、「マーケティング」や「経営戦略」について学んでおくことも大事かなと思っている。2番目は言わずもがな「データモデリング」。自分としては座学では学ぶ機会は多くもとうとしているものの、実践の機会はあまり得られない領域。きっとIT勉強宴会はそういう場にもなるんだろうなぁ。
気になった本
本書はいくつかおすすめ本も出てくる。これはだいぶ気になった。
が、しかし、これに手を付ける前に暗黙知といえば「知識創造企業」と「ワイズカンパニー」を読むのが先なような気もするが…。積読は高さを増すばかり。
次の課題図書は?
第47回の課題図書はマスターアルゴリズム。分厚い。2回か3回に分割しての読破になりそうですね。
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