The DevOps 勝利をつかめ!は企業変革エンターテイメントだった drc#21(後半戦)

 ちょっとタイトルの書き方を変えてみました。drcとは、Dealine Reading Club(デッドライン読書会)の略称です。今回は21回目の読書会の感想記事になります。あれ、デッドライン読書会ってなんだっけ?っていうのは下記の記事をご参考にしてください。

課題図書

 第20回に引き続き、課題図書はThe DevOps 勝利をつかめ!です。範囲は「第11章 自分の力で」~最後でした。200頁ほど読み進めたことになります。余談ですが、監修の榊原さんにサインもらいたいなと思い物理書籍で読み進めてます。コロナが終わったら、ぜひ。

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感想

 本書は、The DevOpsシリーズの第三作目にあたります。

と来ての本書です。1作目と3作目はストーリー調のいわばIT小説です。2作目は1作目の詳細な解説版ですね。1作目と3作目はストーリーとしては表と裏の関係ですが、独立しているため、3作目の本書だけ読んでも問題ありません。私も1作目はほぼ内容を忘れてしまいました……

 さて、本書は、DevOpsと銘打っていますが、読み終わると「ここまでがDevOpsか!」という壮大さにびっくりします。参考までによくあるDevOpsの定義を調べてみました。

DevOpsは、ソフトウェア開発手法の一つ。開発 と運用 を組み合わせたかばん語であり、開発担当者と運用担当者が連携して協力する開発手法をさす。ソフトウェアを迅速にビルドおよびテストする文化と環境により、確実なリリースを、以前よりも迅速に高い頻繁で可能とする組織体勢の構築を目指している。

https://ja.wikipedia.org/wiki/DevOps

本書ではもちろんこの定義にある開発と運用の連携や、迅速なフィードバック、組織の構築といった内容は出てきますが、意外にその内容はあっさりでした(長さとしては4分の1くらい?)。それよりも重視されていたのが、DevOpsの先には何があるか、をイメージさせてくれることでした。

 DevOpsな開発・運用、組織が実現した先に何があるか、たしかにイメージしたことがありませんでした。私自身がそんなレベルまで到達していませんので……本書の舞台であるパーツ・アンリミティッド社(以降、PU社)では、「その先」ではこんな施策が行われていました。

  • 開発・運用を効率的に行うために、リソースの最適化
    • 重複しているシステムの整理
    • 無理矢理動かしていたハードウェアの廃棄、データセンターの整理、クラウド化
    • 要員の減員(リストラではなく、新規領域への配置換え)
  • ホライゾン3領域の強化
    • (ホライゾン1が既存主力領域、ホライゾン2が準主力・新規事業領域、ホライゾン3がパイロットプロジェクトなど)
    • 今後のPU社が企業として持続的にあるためにはホライゾン3が十分に活発であるべきだが、そうなっていなかった
    • その対処のために、アイデアコンテストの開催し、優秀アイデアには、実現のために最高のチームをアサインする
  • 木曜教室
    • 全社員が学ぶ時間を作った
    • 毎週木曜の2時間を全社員が何かを学んだり、教えたりする時間とした
  • 特別エンジニア(Distinguished Engineer)職を作った
    • PU社はリテールを持つ製造業の企業。これまで営業職や工場長職にはスペシャリズムに対するキャリアパスがありましたが、ITエンジニアにはなかった。

なるほど、DevOpsの全貌の一端が垣間見れた気がしました。

 さて、The DevOpsシリーズには数字が頭についた示唆が合計3つ出てきます。自分の備忘のためにも整理しておきます。

4つの仕事(The Phoenix Project)

 IT運用の仕事には4つの仕事がある。それらを見落としていては全体像が見えていないという示唆。

  • ビジネス・プロジェクト
  • 内部プロジェクト
  • プログラム変更
  • 予定外の仕事
3つの道(The Phoenix Project)

 DevとOpsが効率的に連携するにはどういう観点でフローをスムーズにしなければいけないか。ちなみに、第二作ではこの3つの道を詳細に解説しています。

  • 第1の道:開発から運用への仕事の流れ、作ったものを素早く世に出す
  • 第2の道:運用から開発へのフィードバックループを短縮し強化する方法
  • 第3の道:反復と練習による、第一の道と第二の道の熟達
5つの理想(本書)

 本書では5つの理想が挙げられている。改めてみると、この5つの理想とは、ソフトウェア・リーダーが目指すべき理想なんだろうなと自分は解釈しました。

  • 第1の理想:局所性と単純性
  • 第2の理想:集中、フロー、楽しさ
  • 第3の理想:日常業務の改善
  • 第4の理想:心理的安全性
  • 第5の理想:顧客第一

なんとも含蓄があるなぁ。

 最後にまとめます。本書はDevOpsのあるべき姿、その将来について、ストーリー調にて、はらはらしながら読ませてくれるとても読みやすい本でした。せっかくなので、The DevOpsシリーズを3冊とも読むのがおすすめです。

次回

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