「エッセンシャルスクラム」はまさに中級者向けだった(前半戦) drc#24

 デッドライン読書会第24回は「エッセンシャルスクラム」の前半戦でした。デッドライン読書会の説明はこちら。

課題図書

 今回の課題図書は、Kenneth S. Rubinさん著作の「エッセンシャルスクラム」の前半戦でした。範囲は第Ⅰ部「コアコンセプト」と第Ⅱ部「役割」です。エッセンシャルスクラムは、システム開発のメソドロジーであるスクラムの中級本としてよく取り上げられています。邦訳は2014年出版です。いつか読みたいな~と積読になっていましたので、まさにデッドライン読書会で消化するにふさわしい一冊です。

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感想文

 第2章「スクラムフレームワーク」と第3章「アジャイルの原則」で基本的なスクラムの内容を学ぶことができます。スクラムはスクラムガイド2020によって定義されていますが、実践は各現場にお任せです。スクラムガイドはスポーツでいうルールに近く、各テクニックや戦術は書かれていません(この説明は強引なたとえ)。これでは、いざやろうとした時に困っちゃうよね?ってことで様々な解説書が出版されています。とりわけ中級と考えられる書籍は、本書の他に、

Bitly
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などがあげられるでしょうか。(あれ…Clean Agileって読んでいないような…)

 前半ではコアコンセプト(原則、要件、プロダクトバックログ、見積もり、技術的負債)と役割(プロダクトオーナー、スクラムマスター、開発チーム、スクラムチームの構成、マネージャー)がテーマにされていますが、著者の経験に基づいた具体的な解説で、自身の現場とのDiffがとりやすい書きっぷりになっていると感じました。

 特に「役割」が良いですね。「責任」、「特性とスキル」、「一日の様子」で解説してあるため、自分(や、自分のチーム)のふるまいとの比較がしやすいです。一日の様子を見ると、各役割がどういった活動に何%くらいパワーを割いているっていう踏み込みもあります。「なるほど、他の現場ではこんなふうにやってるんだ」っていうのが学べます。ただいずれも説明されている「特性」っていうのは…ちょっと言いすぎかなぁとも思います。「〇〇を持っている人がスクラムマスターに向いている」みたいにも読めるため、そこまで言わなくてもよいのではと思いましたね。

個別で興味深かったところ

新しいスクラムチームに「スクラムガイド」を渡して、よい結果を期待することはできない。著者たちの比喩を使えば、チェスを初めてプレイする人にルールの説明書を渡して、まともに指すことを期待するようなものだ。「スクラムガイド」だけでは足りないのである。

まえがき

 さっきスポーツの例を書きましたが、本書ではチェスの例でしたね。

たとえば、スクラムを新製品開発に用いて、カンバンを割り込み駆動のサポートと保守に使うといった具合だ。

第1章 イントロダクション 1.5 スクラムは役に立つか?

 今年これは研究したいこと。それぞれは理解しているが、うまく連携した方式を試してみたいなと。下記の本をもう一度引っ張り出してこなくては。

今すぐ実践! カンバンによるアジャイルプロジェクトマネジメント マイクロソフト関連書
理論から実践へ! アジャイルに踏み出せなかった現場に贈る、効率的なチーム運営の秘訣とは? ソフトウェア開発における「カンバン」(英語でもKanban)は、トヨタのジャストインタイムスケジュール管理メカニズムに基づくプロジェクト管理手法のこと。本書は"Agile Project Management with Kanba...

アジャイルの原則を伝統的な開発の原則と比較するのは、計画駆動の開発が悪く、スクラムがよいと証明するためではない。どちらも、プロの開発者の道具箱に入っているツールなのだ。悪いツールなどというものはなく、そのツールを使うのに適していない機会があるだけだ。

第3章 アジャイルの原則 3.1 概要

 最近仕事でこんなんあったなぁ。そういえばCSMの研修を受けたときに教えられたことでもある。「スクラムマスターはチームが最適な開発方法論を選択できるようにサポートする必要がある」と。

最終責任時点(LRM)

第3章 アジャイルの原則 3.3 与件と適応

 Leanの用語だったか。ぱっと分からなかったのでメモ。

経験上、スプリント2回から3回分程度のストーリーを準備完了状態で抱えておくとうまくいくことが多いようだ。

第6章 プロダクトバックログ 6.6 フローの管理

 こういう具体的な話がとても助かる。

それも面倒な質問ではなく、質問することが目的ではなく、思慮に富んで深遠であり、内省をうながす質問(probingquestion)をする。それによって、自分で答えを見つけられることを認識してもらうのである(ソクラテス式問答法だ)。

第10章 スクラムマスター 10.3 特性とスキル

 これね。むずすぎる。コーチングスキルなんかな。(スキルと書くとなんだか浅薄だなぁ)

私がゲーム開発のチームにいたとしたら、AIとちょっとしたテストは担当できるだろうが、アートデザインは無理だろう(私にさせたくもないはずだ!)。しかし、Photoshopでファイルフォーマットを変換したり、複数のファイルを処理するスクリプトを書いたりするような、アーティストの才能が不要なデザインワークでアーティストたちを支援することはできる。

第11章 開発チーム 11.4 特性とスキル

 開発メンバーは多能工であることが求めら、特にT字型スキルであることが望ましいと。それでも高度な専門性や、一見センスが必要そうな領域って避けがちだと思います。この例を引用したのは、「やるか、やらないかの、ゼロイチじゃないよね」ってことを示す好例だと感じたからです。

13.6 プロジェクトマネージャー

 この節は全体的に参考になった。マネージャーと、ファンクショナルマネージャーと、これまでのプロジェクトマネージャーが、スクラムではどういう役割分担となるかの整理。

次回

後半も楽しみです。

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コメント

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