デッドライン読書会(drc)の第23回の感想文です。デッドライン読書会ってなんですか?はこちらをご参考下さい。
課題図書
今回の課題図書は、ドネラ・H・メドウズさんの「世界はシステムで動く いま起きていることの本質をつかむ考え方」でした。

今回はやや長めの書籍でしたので、読書期間は3週間の設定です。
感想文
昨今「〇〇思考」にあふれて、もはやどれがどれか分からなくなりつつありますが、本書はシステム思考に関するしっかりとした入門書です。
システムの定義からスタートし、システムのバリエーション、構成要素、システムの複雑な挙動の原因、システムを変えたい場合の介入ポイント、システムとの付き合い方といった基礎を教えてくれます。特に、システム思考の中でも、システム・ダイナミクスの分野に所属する著者による解説です。
システム・ダイナミクスは、経済や社会、自然環境などの複雑なフィードバックをもつシステムを解析し、望ましい変化を創り出すための方法論です
https://www.change-agent.jp/news/archives/000006.html
私が初めて「システム思考」という言葉に触れたのは、4年前の認定スクラムマスター研修の場だったように思います。物事を個別に捉えるのではなく、全体をもって捉えるように意識することを学んだ記憶があります。いわゆる還元主義的な思考(物事を詳細に分解して、個別撃破していくような考え方)に陥らず、常にバランスよく対峙する姿勢が重要といった示唆は本書でも初っ端にふれられています。
システム思考では、システムを「ストック」、「インフロー」、「アウトフロー」、「ループ」といった構成要素で捉えることに挑戦します。室内の温度を例にとると、ストックが室内の温度、インフローが空調からの暖かい空気、アウトフローが部屋から漏れ出る温度、ループがサーモスタットを使って室温を一定に保つ仕組み、といったものです。チェンジ・エージェント社のサイトには事例がたくさん載っているので参考になりますね。
このようにシステムをモデル化することにより、システムに対する理解を深めるとともに、将来どのような変化が産まれるかを(コンピュータ)シミュレーションすることができます。本書では、前者の「システムに対する理解」が特にミソとなっています。
- システムを類型化できる
- システムの挙動を理解できる(時間的遅れの意味や、複雑系としてのシステム)
- システムにありがちな落とし穴を共有できる(人間がしがちな誤り)
- システムを変えたいときにどうアプローチすべきかのヒントが得られる(レバレッジ・ポイント)
このようにシステムに対する理解を増やすことができます。(こういったところから、システム「思考」と言うんだろうか…)
本書はしっかりとシステム思考の基礎を解説してあるものの、本来あるべき姿としてはさらに他書にあたるべきなんだと感じています。そもそも、本書の位置づけはシステム思考の中でもシステム・ダイナミクスに根差した考え方であること(他にも分野があるのかもしれない)。事例やモデル化した対象が広範であるため、自分の興味を持つドメインに近い解説本(分析本?)をとってみたほうがよさそうなこと。草稿自体はけっこう古い(1993年)ので、ここ20年間ぐらいの発展があるんじゃないかってこと。このあたりのキャッチアップはいりそうだな~と思った次第です。
いやはや、面白くて、良い本だったなぁ。
次回
さて、恒例となりつつありますが、次回の選書が終わっていません。今後の予定です…。次のブログポスト期限はもう春ですね。
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