デッドライン読書会第67回の課題図書は「鬼時短」でした。タイトルと表紙にインパクトが有り手に取ってみた一冊です。
電通で行われた働き方改革の労働時間削減についてのお話です。組織としてどのように労働時間を削減していくかのストーリであるため、個人のタスクの観点で示唆を得るのは難しいかもしれません。ただチーム(課)以上なら効くポイントあります。
また、この本で語られる各種施策の考え方は「労働時間削減」だけではなく会社として何かしら施策(◯◯力向上など)を進めたいといった場合の事例としてとても良いと思いました、チェンジマネジメントの実践集ですね。
以下本書で私が気になったポイントです。
- 文化は変わらないし、変えようとしてはいけない
- これはけっこう目からウロコ。文化を変えようとするんでしょ?と思ってた。電通社内の実態がどうだったかは分かりませんが、何かをしようとするとき「文化を変えます!」と言う言葉は、抵抗を招きそうです。抵抗が起きては変化は望めません。
- 自分も会社で「文化を変えていきます」なんて言われたら、微妙な気持ちになります。
- 「DXによる業務効率化」の背景に社員がキーボードを使えるか
- 侮ってはいけない。本当にこれ。自分が勤めている会社(IT企業)でもキーボード入力が遅い人はいます。ましてやITをメインにしていない企業では「タッチタイピング」、「ショートカットキー」を駆使できない人は一定数いるっていうのが普通だと認識する必要があります。(だって本業ではないもの)
- フリック入力中心の若い人もそうですね。現在のコンピュータの利用において、キーボード入力はもうしばらく続きそうですので、基本からの底上げを意識しようと思いました。
- 哲学論争で時短はできない
- ふむ…これもありそうなやつ。「時短をしよう!」と掲げた後に「そもそも労働・労働時間とはなにかを定義しよう」みたいなおちいり方(言葉を変えたら私も経験ある)。時に大事です。ただ著者は時短は哲学的論争からの大転換ではなく、時間を切った(電通の場合は2年)、漸進的な改革といってました。
さてちょっと話を変えます。私が鬼時短を手に取ったもう一つの理由が「仕事と家庭が忙しくて本を読めない、どうにか時短をせねば」という悩みからでした。その個人の悩みに対して鬼時短から具体的な示唆を得られなかったこともあり、同時に興味を持っていた「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」も読みました。こちらの感想もちょっとだけ追加。(DRCの期間で関連する書籍を読んだのは初めてかも)
本書のあらすじは以下のとおり。
- 労働と読書は両立できないのか?
- 明治時代から見る日本の労働史
- その歴史で読書は労働にどう伴走していたか
- 結局どうしたら働きながら本が読めるの?
- どう働けばよいの?
本書の半分以上が労働の歴史と、そこを伴走する読書(つまり労働者がしていた読書)をテーマにしています。「なぜ本が読めなくなるの?」の準備なわけですが、この章がとても面白かった。明治時代以降の各時代で流行した本(ベストセラー)や本の作られ方・売られ方(文庫や、円本)、教養・修養と社員教育の考え方などの労働者ににとっての読書の意味など、自分にとっての初単語が多かったです(こういった読書を通した出会いを本書では「ノイズ性」とい言っていたりする)。
2000年代以降、つまり、インターネット時代以降は、「情報」が台頭してきた。欲しいものに直接たどり着ける情報(インターネット検索)と、情報+ノイズ(歴史や周辺知識、著者のコンテキスト)がある読書が天秤にかけられ、労働が様々なパフォーマンス(コスパ、タイパ、新自由主義)を求めた結果、余分な情報(ノイズ)が入ってくる読書をやっている暇は無い…となったのが現代だと著者は語っている(分析している)。
え、すごい、そのとおりやん。で、どうすればよいの?
「休もう」
全身全霊で働く(トータル・ワーク、疲労社会でのバーンアウト)のではなく、半身で働く(労働以外も)。そして読書を通してノイズを受取り、他者のコンテキストつながり、より豊かな生活をしたいねって。そのとおりだ。そうしよう。
次の課題図書は?
次は何ですかね?以下は興味あります。もうちょっと技術よりも読みたいけど、、、生成AI系の良い本があったら読んでみたい。(見つけられていない)。興味のある候補。
- エレガントパズル
- スタッフエンジニアの続編?
- 組織を変える5つの対話
- 表紙のキーワードに釣られた…。
コメント