デッドライン(締切)を味方につけて、積読を消化する読書会:デッドライン読書会。順調に回を重ね第16回まできました。読む量も適度で締め切りが味方にいるおかげか、こつこつと進められていますかね。今回の第16回の課題図書は「More Effective Agile ~“ソフトウェアリーダー”になるための28の道標」でした。第16回、17回で読破する予定です。

 デッドライン読書会ってなに?は下記の投稿をご参照ください。

課題図書

 課題図書は、「More Effective Agile ~“ソフトウェアリーダー”になるための28の道標」です。

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著者はスティーブ・マコネルさん、監訳は長沢智治さんです。原著は2019年8月出版、邦訳の本書は2020年6月出版です。マコネル氏といえば、Code Completeソフトウェア見積りなどが有名です。私もCode Completeは社会人になりたての頃に、四苦八苦して読んだ覚えがあります。

 今回は2分割して読みます。

  • 前半戦(第16回)…最初~第12章 より効果的なアジャイル:テスト
  • 後半戦(第17回)…第13章 より効果的なアジャイル:要求の作成~最後

感想文

全体

 本書はスクラムを題材に書かれています。スクラムは「スクラムガイド」に記載の通り、ロール、イベント、成果物が定義されています。本書ではスクラムの実践的なプラクティスを述べているわけですが、スクラムガイドをしっかり守ったうえで、どのように具体策に落としていくかを考える際の参考になる内容です。スクラムガイドでは詳細が定義されていない、周辺のプラクティスや、考え方、行動指針などが28の道標として記載されています。読む限り、マコネル氏が経営するConstrux software社がコンサルしたり、現場支援したりした実例を中心に成否のパターンを分析し、まとめられているようです。たくさんの企業を対象としていることもあり、AmazonやNetflixのような、技術イケメンの企業だけではなく、一般的な企業(組織)での現実的な解が提示されていると感じました。

本書を2000年代の初めに書くことは不可能だっただろう。(中略)本書は、うまくいくことが実証されているプラクティスに焦点を合わせている。

P.6 第1章 はじめに

 こういった記載がある通り、20~30年の積み重ねの上にあるのが本書です。流行りを追うのではなく、多くの組織で成功する可能性が高い、普遍的に有効な打ち手を整理されているってことですね。(この安心感はすごく大きい!!)

 雑なコメントですが…全体的に図と表が分かりやすいです。グラフが出てきたときに、ありがちなふわっとした内容ではなく、例の場合でも数値が入っているし、丁寧。表においても文中の理解を促すために「良い例・悪い例」の対比の表がたくさん出てきます。例えば、「自律性を養う方法 vs 自律性を損ねる方法」(第6章 チーム文化)。これがこのままチーム文化の点数付けに使えるなど、とても良いです。(ちょっと勘ぐると、長沢さんが監訳されているから、こういったところは、しっかり書き直しているんじゃないかなぁとかとか)

 もしこれからスクラムをスタートするという方がいたら、基礎の本+本書という組み合わせが最初のステップに良いでしょう。基礎の本としては、前述の「スクラムガイド」や、SCRUM BOOT CAMP THE BOOK(最近改訂版が出た)あたりが良いと思います。なお本書にもスクラムを解説した章があります。

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ピックアップ

 気になった箇所を個別にピックアップしてコメントします。

スクラムバット(Scrum-but)、スクラムアンド(Scrum-and)

第4章 より効果的なアジャイル:スクラム(離れているところを抜粋)

 スクラムバットは「スクラムだけど、XXをやっていない」、スクラムアンドは「スクラムに加えて、〇〇をやっている」というバッドプラクティス(なのかな?)を表現したワード。スクラムのスコープを正しく理解しておくべし。「スクラムアンド」は知らなかったなぁ。スクラムアンドを意識できること(つまり、どこからが独自の領域化を把握することで)で、スクラムの用途を広げることができる。「総務部×スクラム」などですね。

いくつかのアジャイルの実践に見られる特徴として、共同作業を促進するために、個室やブースからオープンフロアオフィスへの切り替えが行われている。筆者はオープンフロアオフィスをお勧めしない

P.65 第5章 より効果的なアジャイル:

 え、そうなの?どうも調査結果によると集中力の低下などがみられるから、オープンフロアオフィスは推奨されないらしいです。

ソフトウェア開発作業にとって重要となるのは内発的なモティベーションだけである。(中略)ダニエル・ピンクは自律、熟達、目的の3つの要因に基づく内発的モティベーションという理論を提唱した。

P.69 第6章 より効果的なアジャイル:チーム文化

 この部分は下記の書籍で学べる内容ですね。積読です。私もこういったスキルを身に付けたいなぁと思っている領域です。

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第8章 より効果的なアジャイル:個人および対話

章タイトル

 前回のデッドライン読書会で取り扱った「他者と働く」にもつながる内容ですね。

クルーシャルカンバセーション

P.97 第8章 より効果的なアジャイル:個人および対話

 これも知らないキーワードでした。「難しい話し合いに対するアプローチ」とのこと。本書ではほとんど説明がありませんが、邦訳書がでているのでメモ。

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モブプログラミングとスウォーミングの両方を、選択的に実践すべき、あるいはまったく実践すべきではないニッチなプラクティスと考えている。

P.143 第11章 より効果的なアジャイル:品質

 普遍的に良いかどうかまだ判明していないとのこと(レビュワーでも意見が分かれたらしい)。これから実績が積まれて有効性が判断されるのでしょう。ちなみに、本書ではこのように随所に各種周辺プラクティスの講評が行われています。

次回